fc2ブログ
    background movie
    HOME カレンダー
    09 | 2023/10 | 11
    1 2 3 4 5 6 7
    8 9 10 11 12 13 14
    15 16 17 18 19 20 21
    22 23 24 25 26 27 28
    29 30 31 - - - -
    プロフィール

    RED EYE

    Author:RED EYE
    RED EYEです。
    登山、ゴルフ、アクアリウム等、
    趣味の事を綴っています。

    アクセス
    最新記事 最新コメント 最新トラックバック
    月別アーカイブ カテゴリ メールフォーム

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    北山川水系前鬼川 深仙俣谷② 2017年8月19日~20日

    箱状の廊下を越え、数々の支流から流れ込む冷たい水を浴びていた。

    間もなくして前回の入渓地点だった垢取離場に出合い、ここで一本立てる。

    出発から約2時間。 ゆっくりとした時間が流れていく心地良さに酔い痴れていた。

    垢取離場から約30分、二俣に出合う。 右俣が孔雀又谷、左俣が深仙俣谷。

    今回は深仙俣谷へ。 巨岩の隙間から高巻き気味に乗越して支流へと入って行く。

    P8191655.jpg

    人擦れしていない谷とはこうゆうことか、本谷からガラッと変わった雰囲気に驚いた。

    明るい谷ではあったが、何処となく憂鬱な気分にさせる重く暗い空気を感じていた。

    P8191658.jpg

    乗越した巨岩が結界だったか、この先に足を踏み入れても良いのか躊躇してしまう。

    戸惑いながら進むと間もなく美しい2条12mの滝に出合う。 中央リッジを攀じ登る。

    P8191660.jpg

    美しいが残酷。 濡れたスローパーが嫌らしく、登り始めて直ぐに私を弱気にさせる。

    下を覗くと落ちたら運良くて骨折、最悪は死ぬ。 背筋に恐怖が圧し掛かる様だった。

    こんな誰も来ないような谷で落ちたらとか考えると、手も足も出なく縮こまってしまう。

    クライムダウンなんてヤバい事は出来ず、とにかく何としてでも登り切るしかなかった。

    総体的には簡単だが、ウェットなコンディションと雰囲気が難しくさせていたのだろう。

    ただ最後の詰め上がりで、手を取ると足が切れる瞬間が最も怖くて嫌な感じだった。

    腕力と体幹で登る、そんなムーブは室内だけで充分、こんなヤバい所でやりたくない。

    情けない顔で登り切り、取敢えず思いっきり吠えてみた。 しかし何も起こらなかった。

    P8191664.jpg

    更に深部へと歩を進めると、驚くことに水の碧さが下部の本谷よりも色が濃く鮮明だった。

    P8191666.jpg

    P8191668.jpg

    P8191671.jpg

    遡上を続けると間もなく水が涸れ始め、ゴーロだけが目立つ単調な涸れ谷になる。

    P8191673.jpg

    この辺りには健康商品に多い電気石(トルマリン)の原石が数多く見受けられた。 

    P8191676.jpg

    P8191678.jpg

    15時、まだ水が流れている箇所で遡行を打切り、幕営地に最適な高台に幕を張る。

    全てが濡れていたので火を熾しても、ブスブスと音が鳴り煙ばかりが立ち込める。

    P8191701.jpg

    それでも飯を炊くには充分な火力だった。 多くは要らない、必要なモノだけ在れば良い。

    P8191683.jpg

    P8191694.jpg

    ぼぅっと火を見つめて薪を足す。 色々と考えたくない思い出したくない事が頭を巡る。

    P8191689.jpg

    どれくらいの時間だろうか。 ずっと出口の無い答えを探して自問自答を繰り返していた。

    次第に日が落ち、風の無い幕営地に静かな夜が訪れる。 心の絃が絡まり乱れてゆく。

    どんな選択をしても、結果は誰にも分からない。 時は変わらず同じように流れていく。

    同じ時を過ごすなら、少しでも有意義に過ごしたい。 例え最悪な結果を迎えるとしても。

    気が付くと笑っていたり、涙が頬を流れていたり。 色々な感情が溢れ出ていた。

    笑いたくても笑えない時が来た時の為に、今の内に思いっきり笑っておく。

    本当に泣きたい時に泣かずに前に進めるように、今の間に沢山泣いておく。

    ダムが決壊したかのように溢れ出た感情、次第に心は清流の様に穏やかになった。

    火の燃える音、川のせせらぎ、哀愁漂う鹿鳴、次第に音が遠くなり深い眠りに落ちてゆく。

    P8201707.jpg

    こんな独りの時間があっても良い。 暗く静かで孤独な谷底の中、私は独り眠りについた。










     


    THEME:登山 | GENRE:スポーツ |

    COMMENT

    No title

    RED EYEさん

    こんにちわ♪

    焚火にツエルト、たった一人での時間
    何者にも邪魔されない開放感、最高の時間ですね!

    RED EYEさんは、文章が物凄く繊細でまるで詩人のようですね。

    kaka様へ

    kakaさん、こんにちわ^^

    贅沢な時間でしたが、やっぱり孤独な人間なんだなぁと。
    想いに耽って山中に居ましたが、寂しさも否めません。

    孤高の存在に憧れても、人は一人では厳しいですね。

    ありがとうございました^^

    EDIT COMMENT

    非公開コメント