六甲全山縦走大会 2013年11月10日
2013年11月10日開催の六甲全山縦走大会の記録です。
大会の少し前からダイエットとトレーニングをしていました。
なんとなく参加したモンベルのイベントツアーで知ったこの大会。
なんとなくで応募したら抽選に当選したのがきっかけでした。
交通事故で頸椎と腰椎にヘルニアを患ってから自分に甘え続けて、
結果としてブクブクと太り、178cmの身長に対して77kgの体重。
普段から運動不足なのに56kmの縦走は踏破出来るのか?
練習がてらに大会前に須磨浦公園から挑んだものの、当然ながら無理でした。
第1チェックポイントの菊水山山頂で膝に激しい痛みを感じ始め、
何とか市ケ原まで行ったものの、この時点で行動不能になりました。
痛い足をかばいながらなんとか下山出来たのは奇跡かもしれない。
これではダメだと思い、いつもお世話になっている整体の先生に相談。
まずはウエイトダウン、並行して筋トレしましょうとのこと。
そこで提案されたのが断食とジョギング+筋トレでした。
約2か月前から筋トレはしていたのですが、
急遽大会の2週間前から週2日断食を始めました。
加えて毎日約6kmのジョギングと筋トレ。
結果、大会当日には7kgダウンで70kgになっていました。
当然ながら体重が落ちた分、膝に掛かる負担は軽くなる。
ザックの重量も余分なものを省き、4kgに抑えました。
大会当日の朝、車で送ってもらい2:50分に須磨浦公園に到着。
驚きました、既に100人近くの人が並んでいました。
この時、私の前にいたのがぢんさんのグループです。
後に掬星台でお連れの方に声をかけて頂いたので、とてもよく覚えています。
4:30 この時点で雨がパラついていました。
悩んだ結果、私はレインウエアを着用しましたが、結果的に正解でした。
5:00 いよいよスタートです。早い時間から並んだ甲斐あってスムーズなスタート。
前走のグループは異常に早い! 走ってはいないもののかなりの速さでした。
この時点で私は大きなミスをしました。 それはペース配分です。
何を思ったのか、この早いグループについていこうと必死に歩きました。
結果、400階段で早くも大腿筋がスパーク。
思うように足が動かなくなってきました。
妙法寺を超えた時点で早くも膝に違和感が出始めました。
9:50 やっとのことで菊水山山頂の第1チェックポイントに到着。
非常にペースが悪いです。この時点で5時間近くかかっていました。
ここで少しだけインターバルをいれ、膝にサポーターを巻こうと思ったのですが、
恐ろしいほどの突風とも言える風が吹き荒れていました。
雨が叩きつけるように降り、スタート時にレインウエアを着ていて良かったです。
痛んでいる右膝にサポーターを巻き、10分程休んで出発。
しかし、天王吊橋に至るまでに左膝も痛み出しました。
途中で腰を下ろし、左膝にもサポーターを巻きました。
この時点で、ぢんさんのグループに抜かれていきました。
こう考えるとペース配分は非常に大事だと感じました。
鍋蓋山の山頂を踏む前にレインウエアを脱ぎ、身軽になりました。
全く寒いのやら暑いのやら、温度調整が難しい。
大龍寺の自販機でハイドレーションにアクエリアスを補給。
この日は2Lのアクエリアスを入れていたのですが、
後半に向けて500ml補給しておきました。
練習で登った時の教訓で水分を摂りすぎないように気を付けていました。
飲み過ぎは非常にバテやすいですしね。
気持ちだけはしっかりしていましたので前回のリタイアポイントをパス。
このまま掬星台に向かう決意ををしました。
とにかく1歩でもいいから進もう。 そんなことを考えていました。
天狗道は本当に辛い。。。 だけど個人的には菊水山よりマシです。
13:50 なんとか掬星台の第2チェックポイントに到着。
菊水山から4時間経過しての到着でした。
膝も痛み、天候も悪化してきましたし、正直、心が折れかけていました。
そんな時にぢんさんのグループの方が声をかけてくれました。
私はちょっとしたミリオタで迷彩が好きなんです。
この日はTP社ARMAのマルチカム迷彩のパンツと
カリマーSFのマルチカムのザックを使用していました。
声をかけてくれた方はスタート時に私の前におられた方で、
A-TACS迷彩を着ておられました。
お互いに迷彩で何となく印象に残っていました。
「頑張りましょうね! 絶対にゴールしましょうね!」
そう声をかけて頂き、スタートしていきました。
この言葉が物凄く励みになり、もう少し進もうと思いました。
ここからは割と平坦なルートですし、最悪ガーデンテラスでリタイアすればいい。
この時でした、私は生まれて初めて聖域(ゾーン)とゆうものを経験しました。
気が付くと体が非常に軽くて膝の痛みが感じないんです。
ペースも一気に早くなり、自分では信じられない位に体が軽いのです。
それまでは頭の中でリタイアした時の言い訳ばかり考えてた自分がいて、
天気が悪かったとか膝が痛かったからとか初めてだしとか。。。
そもそも私は何でこんな辛いことしてるんだろうとか。
集中力が異常に増した感じがして、それまでグチャグチャだった頭の中が
まるで何もなくなったかのように鮮明で、目の前がゆっくりと時間が流れて。
降っている雨の粒が1滴1滴はっきりと見えるんです。
なぜか頭の中でFoo FightersのEver Longが遠巻きに流れていました。
ずっとループしてましたが、理由は不明です。
16:25 一軒茶屋 最終チェックポイントに到着。
この時点でもう引き返す気はありませんでした。
温度も一気に下がり、先程のゾーン状態も切れて膝はボロボロ。
それでも進む決意をして、とにかく1歩でも進もう。
そんな気持ちでチェックポイントを後にしました。
しかし、急な下りと雨でぬかるんだ地面が容赦なく襲いかかりました。
船坂峠、太平山、いつになったらゴールに着くんだろう。。。
既に辺りは暗くなりヘッドライトを点けたのですが、
私がこの日に持っていたのは28lmのライト。
辺りには霧が出て、このライトの照射距離では全く前が見えませんでした。
完全に装備の選択ミスです。何度かコースを見失い滑落しそうになりました。
この間に後続に抜かれ続けたのですが、膝の痛みを耐え、
私を抜いたグループの最後尾に張り付きました。
ライトも役に立たないし、何より痛みより恐怖感が勝っていました。
このグループを見失ったら、諦めるしかない。
だけど既にリタイアポイントは無く、進むしかない。
死に物狂いでついていきやっとのことで大谷乗越を経て塩尾寺に到着。
もう少しでゴールだとゆう安心感を振り払い、ひたすら歩き続けました。
遠い。。。住宅街に入ったのにまだゴールじゃないのか。。。
既に膝は激痛で限界を超えていたと思います。
20:20 宝塚ゴール 到着。
長く辛い道程でした。約15時間かけてのゴール。
嬉しくて嬉しくて、久しぶりに感じた達成感。
今回の縦走を通じて、人生観に新たな発見が沢山ありました。
自分を追い込むことで新たな発見があること。
いつの間にか言い訳ばかり考えている自分がいたこと。
これは普段の私生活の中でもあることだと思います。
それと人との出会いの大切さと言葉の重みを感じれたこと。
一期一会とはよく言ったもので、あの励みの言葉がどれほど力になったか。
いつか会えることがあれば心からお礼を言いたいと思いました。
いつか自分の言葉で少しだけ誰かを助けることが出来るなら
自分もされたように誰かの力になりたいと思いました。
やっぱり山はいいですね。 最高です。