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    RED EYE

    Author:RED EYE
    RED EYEです。
    登山、ゴルフ、アクアリウム等、
    趣味の事を綴っています。

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    大峰山脈 七面山南壁 Long Hope 12P 5.11- (450m)

    場  所 大峰山脈 七面山南壁 Long Hope 12P 5.11- (450m)
    日  程 2020年8月13日-15日
    目  的 マルチピッチクライミング
    メンバー RED EYE  ガンジー  計2名
    気  象 8/13曇り後雨 気温30℃ 8/14晴れ 気温34℃ 8/15晴れ 気温33℃
    行  程 8/13(5:45)林道入口⇒(6:15)中ノ川出合⇒(10:20)レンゲ谷出合
         ⇒(12:30)出合の幕営用意、南壁基部へ荷揚げ完了⇒(泊)
         8/14(2:30)起床⇒(3:35)幕営地出発⇒(4:50)南壁基部
         ⇒(5:50)登攀開始⇒(8:20)4P取付き⇒(16:10)8P取付き
         ⇒(20:00)終了点⇒(20:30)七面山東峰⇒(21:30)下山開始
         ⇒(22:50)槍の尾⇒南西に派生する尾根から下降開始
         8/15(0:15)シデノ本迫下部⇒(4:10)中ノ川出合⇒(5:00)林道入口

    七面山南壁(4)

    8/13 早朝から林道を歩き宇無ノ川へ入渓したが、七面沢に近付くと雨が降ってきた。南壁はガスに覆われて姿を視認出来ず、明日の登攀に影響がないかと不安になったが、取敢えず南壁の基部へ荷揚げし、取付きを確認して一旦は七面沢のBCへと戻る。結局は降ったり止んだりが15時位まで続いており、この茹だる様な暑さで乾いてくれると良いなと願うばかりであった。食えるだけの飯を食い、早めに就寝するが恐ろしい数のアブに襲撃されてあまり熟睡は出来なかった。

    Long Hope_200817_32
    雨が降り始め、ガスで全容は視認出来なかった。

    Long Hope_200817_17
    南壁基部へと荷揚げ。

    Long Hope_200817_16
    眠れずにイラつくRED EYE

    8/14 2時に起床、ゆっくり飯を食い準備を済ませて基部へと向かう。明るくなってきたタイミングで登攀を開始した。4P目に辿り着いた時に、眼前に迫る天を衝く七面山南壁の巨大さに圧倒された。途中でイレギュラーが発生し、登攀時間は15時間を超えてしまい予定より遅く登頂することになった。疲労困憊の登攀でオンサイトは逃したが、ワンプッシュ登攀には成功し、素晴らしい経験が出来たと思う。共に登ってくれたガンジーには感謝しかない。感動の涙は大量の汗で涸れてしまったようだった。下山は計画通り槍の尾から南西に派生する尾根を下り宇無ノ川へと下ったが、車に戻れたのは日付の変わった翌日15日の午前5時だった。

    Long Hope_200817_57
    日出前にBCから七面山南壁、取付きへと移動。

    Long Hope_200817_59
    七面山南壁Long Hopeの1ピッチ目。

    七面山南壁 (2)
    4ピッチ目、核心部を登るRED EYE。

    七面山南壁 (3)
    岩も掴みにくく、正確な足取りが求められた。

    Long Hope_200817_7
    剥がれやすいフレークが多く、緊張感が絶えない登攀。


    Long Hope_200817_12
    ボルダームーブも多く、高度感も抜群で最高に気持ちが良い。

    Long Hope_200817_72
    疲労と猛暑に耐えて登攀するガンジー。

    Long Hope_200817_80
    天へと向かって登っていく。 暑すぎて本当に昇天しそうだった。


    Long Hope_200817_75
    予想以上の暑さに喘ぐガンジーとRED EYE。

    Long Hope_200817_78
    BCを張っていた七面沢とレンゲ谷の出合は遥か下。

    Long Hope_200817_77
    背後には大峰山脈の主峰、仏生嶽、孔雀岳、釈迦ヶ岳が窺える。

    Long Hope_200817_79
    予定の下山ルート、槍の尾の頭と槍の尾が見える。

    Long Hope_200817_87
    ハング帯は特に岩が脆く、乗越にはかなり神経を擦り減らした。


    Long Hope_200820_6
    トラブルも多々あり、11ピッチ目からはヘッデン登攀となる。

    Long Hope_200817_88
    開拓者達の名が刻まれたプレート。

    Long Hope_200817_0
    終了点に着いて安堵するRED EYE。

    Long Hope_200817_94
    この壮大なルートの開拓には構想から7年以上掛かったとのこと。

    Long Hope_200817_99
    完登に酔いしれるガンジー。 ここからの下山も彼にとっては地獄だった。

    Long Hope_200817_102
    七面山東峰にてお互いの健闘を称えあった。


    初めて七面山の南壁を目にしたのは2015年5月のことだ。前鬼から釈迦ヶ岳に登った時に、向かいの山に見えた大きな崖は、今でもハッキリと覚えている。昔はクライミングで登られていたと聞いたが、当時は縦走ばかりで全く興味が無く、よもや自分が登攀することになろうとは思ってもいなかった。

    七面山南壁(6)
    釈迦ヶ岳山頂から七面山南壁を望む。


    去年のことだ。同志社大の有志達が、構想から7年以上の月日をかけて、七面山南壁のど真ん中にフリーのルートを開拓したと知ったのは。ロマンの塊でしかないルートに私は惹き付けられた、とゆうより初めてこの南壁を見た時から運命付けられていたのかもしれない。当時はボルダーも4級がやっと登れる程度、ルートも10BがRPで登れる程度だった私が、無謀にもこの南壁を登ってみたいと壮大な野望を抱いてしまった。そこから1年後に照準を合わせてトレーニングの日々が始まった。まずは肉体改造、すなわち減量である。クライマーとしては甘えたわがままボディを何とかしなければならない。有酸素運動に加えて食事制限、登攀力については最低でも週3でボルダー、空いている時間を見付けてはルートも登れるだけ登りこんだ。ルートに関しては約3kgのギアを身に着けて、最低でも1セット5本を5セット以上は登る練習をした。これは七面山南壁が約50mでピッチを切っているとイメージしての練習だった。当然ながら体も壊したし、上手く成長出来ない自分に苛立ったし、それでも大きな目標に向かって為すべきことを為すのは苦痛ではなかった。結果的にボルダーは2級-、ルートは11AをOS、11BをRP程度、ウエイトも最大時70kg、体脂肪率20%だったのが65kg~64kg、体脂肪率15%~13%になった。まだ足りないものだらけだったのは自覚しているが、世の中の動向を鑑みても、コロナの影響や天候不順の不安要素から今年に登った方が良いだろうと結論付けた。わざわざ暑い8月を選んだのも、コロナウイルスの感染者増加による県外への移動規制の可能性、又は本来の予定日であった9月の連休が雨天で流れた場合に、最悪は来年の挑戦になってしまうことを考慮してのことだった。

    七面山南壁トレーニング
    2020年5月31日に閉店となったパンプ大阪にて、ギアを付けての5.11Bでトレーニング。


    自分自身への不安もあったが、この8月に登攀すると決める前からパートナーに対する不安もあった。私の野望に同意してくれたガンジーだが、登攀力は私よりあるものの、山に関しては全くの素人で経験値も皆無だからだ。この登攀計画に彼を巻き込んでしまったが、短期間で山に慣れさせるとゆうのは無理があった。その為、歩荷は私が担当しなければならないし、下山ルートについても慎重に検討する必要があった。一番良いのは奥駈道を経由して太尾に下るルートだが、登山道で事故の心配も少ないが彼の体力が持たないだろう。レンゲ谷の下降は彼には到底無理であるし、熟練者でもヘッデンであの険しい谷を下降するのは危険が伴う。それならば槍の尾から南西に派生する尾根から宇無ノ川へ下るルートがまだマシだろう。楊子ヶ宿で1泊する手もあったが、それだけの幕営装備を背負って、七面山南壁の登攀は考えられなかった。後述するが、やはりパートナーには可哀想なことをしたなと思う。もっと準備期間があれば、もっと綺麗に楽しみながら登攀出来たかもしれないが、それはあくまでも結果論である。

    七面山南壁 (1)

    七面山南壁(5)
    今回の登攀で辿ったルートのログ。


    15時間以上の登攀については、やはりイレギュラーの発生が大きく影響している。まずは虫の襲来だ。時期が悪いと言えばそこまでだが、アブと蟻の絶え間ない襲撃に悩まされた。特にビレイ中は悲惨なもので、クライマーから目を離せないにも関わらず、全身を攻撃してくるのだ。この為、特に足が腫れ上がり足首が無くなってしまう程で、シューズが履けなくなってしまう事態になった。無理にでも履くがパンパンに腫れた足にはキツ過ぎて、登攀にはかなりの影響を及ぼした。暑さ対策も足りておらず、想定を上回る暑さに対応しきれなかった。水については5L以上を担いでいたが、全く足りずにガンジーに関しては熱中症の諸症状と思われる指先の痙攣があった。この時、症状が落ち着き再び登れるようになるまでに約40分が経過した。ロープキンクについても、私がリード中に発生しATCの操作(ロープの繰り出し)に影響が出たが、やはり経験の少ない彼にそれを上手く対処する術はなかった。これは教えていなかった私が完全に悪いのだが、何にせよ準備不足には変わりはない。それに加えてパートナーがマルチピッチクライミングの経験が乏しく、練習で登る時間も限られており、システムを理解しきっていなかったのも原因の一つだろう。今思えば、お互いにもっと時間を取って呼吸が完全に近いほどに合うように練習を積むべきだった。私自身も減量が裏目に出て、思ってた以上に体力が低下しており動きが鈍かったし、調整が上手くいっていなかったのも大きな要因だ。その結果がこの登攀時間になったのであり、この挑戦自体を私が甘く見ていた事の表れだと猛省している。



    下山に関しては想定外に11P目からヘッデン登攀になり、完全に夜間行動となってしまった。自分はよくある事なので何とも思わないが、ガンジーには随分と辛く怖い思いをさせてしまった。下山時に私が重い荷物を全て担ぎながら彼のフォローをすることに対して苛立ち、随分と彼に対して悪態をつきもしたが、それが最善だとゆうことも分かっていた。すでに飲み水を使い切っていたので、仮に彼が歩けないとしても、無理にでも沢筋に下降させる必要があった。やはり経験値の差か、夜間行動に慣れていないガンジーを連れての下山は時間を要した。踏み跡すらなく歩かれていない尾根筋の下降、しかも夜間で視認性が悪いので仕方のない事ではある。宇無ノ川に戻った頃には日付が変わってしまっており、2人とも体力は限界を迎えていた。歩荷とフォローに疲れ切っていた私は、夜明けまでビバークを考えもしたが、宇無ノ川は危険個所もないので、大休憩を交えてゆっくりでも沢を下降し下山することを選んだ。下降した場所から沢の移動も500m弱であるし、林道に出てしまえば問題なく帰れるからだ。本当に危ないと感じれば、完全に停滞してしまえば良いだけの話だ。しかし登攀から下山まで、この様なハードな山行は未経験ながらガンジーは凄く頑張ったと思う。もっと時間を掛けて彼に経験を積ませてあげていれば、こんなに辛い思いをお互いにしなかっただろうと考えると、本当に彼には可哀想なことをしたなと思う。

    私にとってのパートナーとは、もちろん誰でも良い訳ではないが、性格が合う合わないは別問題で、それについてはどうでも良い。大事なのは「同じ目標に対して同じ方向を向いて全力になれる」、それが出来る方が私にとってのパートナーだ。今回の登攀で、ガンジーは限界を超えて自分に出来ることを精一杯出し切って頑張ってくれた。私も出せる限りの力は出せたと思うし、準備期間に於いても出来うる努力はしたつもりだ。紆余曲折はあったものの、2人で力を合わせてこの七面山南壁Long Hopeを登り切った。辛さも感動も彼と共有出来たことが何よりも嬉しい。



    ルートの詳細についてはここでは割愛する。同志社大学体育会山岳部2019活動報告書でも纏められているし、 Rock&Snow 084 2019年夏号にも細かく記されているからだ。それに感じ方には個人差があるので、これから挑戦される方に下手に先入観を与えたくない。実際に登って、ルートを拓いた男達の熱い想いと、Long Hopeと銘打たれたルートの由来、現代クライミングが確立される前から登られていた七面山南壁の壮大さを肌で感じて欲しいと思う。ただ言えることは安易な気持ちでの登攀は控えて欲しい。やはり取付きと下山の長さ、登攀技術に加えて体力と経験値の総合力が必要だからだ。追い込まれた時に自分を知らないと命を落とすし、この素晴らしいルートで悲しい事故が発生するのだけは是非とも避けていただきたいと願う。

    最後に、このルートの開拓に尽力された同志社大学体育会山岳部の方々に心より感謝したい。私は改めて、挑戦する心に勝るものはないとゆうことと、夢とロマンを抱き、それを実現に向けて努力する大切さを学んだように思う。ありがとうございました。












     

      
     

    THEME:クライミング全般(含ボルダリング) | GENRE:スポーツ |

    COMMENT

    No title

    REDEYE様へ
    今回の登攀記録はゾクゾクしっぱなしで読ませていただきました。
    REDEYE様がこのラインを登攀する情熱にすごく感動しました。
    また、パートナーのガンジーさんにとっても感動の登攀だったのではないでしょうか?
    REDEYE様はかなりガンジーさんに済まない気持ちのようですが、熱い人と組んで登った経験って良いものだと思います。
    一つの区切りがついたのかもしれませんが、これからもブログアップを楽しみにお待ちしています。

    泥船船長あるいは608 様へ

    船長さん、こんにちわ!
    長い文章を読んでいただいて恐縮です。
    たった1年間とゆう期間ではありましたが、積み重ねた努力の結果は出せたかなと思います。
    辛く感じた部分は努力が足りなかったとゆう事ですし、今後とも精進しようと思っています。
    ともあれ、これだけの長いラインをワンプッシュで登れたことは僕たちの財産となります。
    また面白いところがあれば、チャレンジしていきたいと考えています。
    ありがとうございました。

    No title

    いいクライミングでしたね、胸が熱くなりました。
    挑戦や努力で得たものは、きっと忘れないことでしょう。
    目標にして下さってありがとうございます、そして完登おめでとうございます。
    開拓者より。

    yabu 様へ

    yabuさん、コメントありがとうございます。
    開拓者からメッセージ頂けるなんて本当に光栄です。
    先日、園田氏と開拓に携わった方と偶然にお会いしました。
    こんな素晴らしいルートを登ることが出来て最高でした。
    また力を付けて、来年か再来年にもう一度登りに行きたいです。
    ありがとうございました。

    ブログ難しい

    こんにちは。 山もですが、ブログもスゴイですね!

    実は今、自分もブログを作ってるのですが、メチャ恥ずかしい出来ですw 

    実際にやってみて苦労しないと、大変さって分からんもんですね(^^)

    はーさん 様へ

    こんにちわ。

    オリジナルでサイトの立ち上げからすると大変でしょうね。。。
    最近はSNSで投稿するので、ブログを書くことが少なくなりましたw

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