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    RED EYE

    Author:RED EYE
    RED EYEです。
    登山、ゴルフ、アクアリウム等、
    趣味の事を綴っています。

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    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝 2020年12月29日

    場  所 新宮川水系四ノ川大懸谷大滝
    日  程 2020年12月29日
    目  的 大滝登攀
    メンバー RED EYE わんこ♂ 計2名
    気  象 晴れ 気温5℃
    装  備 一般登攀具 8.9mm×50m ハーケン カム クライミングシューズ
    行  程 (8:15)林道より下降⇒(8:40)大懸谷大滝下部⇒(9:30)登攀開始
         ⇒(12:30) 登攀完了⇒(12:40)右岸より下山⇒(13:30)林道

    2020年の締め括りとして登攀記録のない大滝を登攀してきた。大懸谷は四ノ川の支流にあり、本流から支流に入って間もなく大懸谷大滝へと出合う。右岸を巻き上がれば破線の登山道があり、数年前までは四ノ川を跨ぐ吊り橋も架かっていたようだ。滝屋さんによると60mとのことだったが、実際に登攀してみると95m以上はありそうだと感じた。事前の情報もなく、一切の登攀記録もないので、実質のオンサイトトライとなった。左岸側から見上げると始めはスラブから垂壁へと変わり、上部へ行くほど前傾壁へとなる滝だ。私たちは入念にラインを見極めてどちらが先に取り付くか、わんこ♂が1P目を希望したので譲ることにした。私たちの見出したラインは右岸側の水線脇から直上し、シャワーを浴びてバンドを伝い左岸側でピッチを切る。その後はそこから直上か、再び水線を跨いで右岸側へ寄るか、上部に行ってから考える。

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_11

    1P目 わんこ♂ リード
    わんこ♂は出だしのスラブは快調に進み、10m程登った傾斜が増したところでペースが鈍った。ヌメリが酷く、岩もスローパー状で登りにくいようだった。辛くも突破したところで再び詰まる。岩の状態が良くないと上からコールが入る。ビレイポイントからは木が邪魔で彼を視認出来なかった。次々と剥がれ落ちるフレークに進退窮まったが、クラスター爆弾の如く落石を落としながらバンドを伝い突破、オフビレイの合図が鳴った。

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_24

    フォローで登ると成程かなり気持ち悪いラインで、わんこ♂はよく頑張ったと思った。プロテクションもプアで、どれも墜落には耐えられないものばかりだった。何よりも年末の寒さに震え、濡れた指先に感覚が無くて厳しさは増すばかりだった。

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_0

    2P目 RED EYE リード
    減量で体脂肪率が一桁になった代償か、私は冷たさに悶絶して中々スタート出来ずにいた。やはり岩の状態は脆く、ガバは基本的に剥がれ落ちる。出だしは前傾しているので、上部のスラブ面に出るまではかなりバランシーなムーブを要求された。

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_2

    リスも少なくハーケンを打つも浅効きのプアプロしか取れない。乾いたボロい壁面よりも、スローピーだがヌメッた垂壁スラブの水線の中にラインが見えた。ワイヤーブラシで磨きつつ、パーミングとワイドピンチで保持しつつ、いつ滑るか分からない細かいフットホールドをクロスステップで踏みトラバースして水線に突っ込む。容赦なく降り注ぐシャワーと無慈悲に吹き付ける風に体温は奪われ続けた。支点はプアで墜落はおろか、テンションすらも許されない。指先は冷え切り保持感はゼロ、足先の感覚も麻痺し踏み感もないが突破するしかない。左側のカンテにあった剥がれかけのフレークに精神安定剤の如くフィンガーサイズのカムを2本極める。掴めるホールドはなく、スラブムーブで足で登るしか方法はない。墜落の先には支点全飛びの致命的な事故になるが、今さら引き返せず留まっていてもいつかは壁から引き剥がされる。行くしかない。私は獣の如く咆哮を上げ、細かいホールドに指を掛け、細かくステップを上げてトップアウト。安堵も束の間、上部は擂鉢状のツルツルでリスも少なく信頼出来る終了点を構築出来ない。かなり渋いスラブを一旦は左岸に巻き上がり、太めの灌木でピッチを切った。

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_4

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_5

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_28

    3P目 Cont
    かなり強いクライマーなら登れるだろうが、スラブ→垂壁→スラブ→垂壁と擂鉢状の中で腰折れになっている。なにより中間支点がとれるか分からず、トップが墜落するとビレイヤーも吹っ飛ばされて落ち口から真っ逆さまだろう。残念だったが10m程は巻きで左岸を登った。

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_25

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_27

    4P目 わんこ♂ リード
    最後のピッチは変わった形状をしていた。滝の上部はゴルジュになっていて、落ち口がCSとゆう大滝には珍しい。滑りやすいスラブをやり過ごし、左岸側に発達したクラック沿いにプロテクションを極めてゴルジュの中を突破する。

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_7

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_30

    意外にもトップアウトはイージーで、詰めあがると平凡な河原になっていた。最初から最後までアドレナリン全開の登攀だったが、見事にフリーオンサイトを決めた私たちは寒さを忘れて歓喜に酔いしれた。

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_38

    新宮川水系四ノ川大懸谷大滝_201231_37

    下山は右岸を少し上がると明瞭な破線道があり、そこからしばらく下ると植林の尾根がある。その尾根をノーロープで下り、荷物をデポした滝の下部へと20分ほどで下降。予定していたよりも早く下山することが出来た。下山後に関西で沢登りをする人は知らない人はいない、沢登り界のパイオニアでもある大阪わらじの会に問い合わせたところ、大懸谷大滝の登攀は聞いたことがないので、初登でよいと思いますと返事を頂いた。2020年の最後に、初登にしてフリークライミングでのオンサイト登攀と、愛すべき兄弟と最高の結果を出すことが出来た。何よりも兄弟と登れたことが嬉しいし、苦しさも嬉しさも彼と共有出来たことが本当に嬉しかった。今後も自身のパートナーは彼以外には考えられない。自分も彼にとってそうで在り続けるために、今後とも精進していこうと思う。
    兄弟、本当にありがとう。


    コロナ禍で大変な1年でしたが、皆様もどうか良いお年をお迎えください。
    来る年が、皆様にとって素晴らしい年でありますように、心よりお祈り申し上げます。
    来年もどうぞ、よろしくお願いします。


    1P 5.10a/b X 35m 右岸よりバンドを伝い水線を跨ぎ左岸へ
    2P 5.10b/c X 35m 左岸より水線を跨ぎ水流を直上後に左岸
    3P Cont 10m 左岸を直上
    4P 5.9 30m 左岸よりクラック沿いにゴルジュからCSを突破
    (全てロープスケール、グレードは体感なので目安程度。1P2Pはプアプロの為、墜落は重大な事故を伴う可能性あり。)













     

    THEME:沢登り | GENRE:趣味・実用 |

    COMMENT

    初登攀おめでとうございます!

    REDEYE様
    大滝初登攀おめでとうございます!
    今でも誰も登らなかった滝が有ること事態もすごいですが、それを登ってしまうこともすごいです。
    REDEYE様はとうとうレジェンドになりましたね。
    最近のブログ更新が毎回感動的で、目が離せません。
    次回の更新も楽しみにしています!

    泥船船長あるいは608 様へ

    船長さん、こんにちわ!
    本年もよろしくお願いします^^
    今の時代に登攀記録の無い滝がある事に驚きました。
    難しいラインを選択しましたが、何とか完登出来ました^^
    これからも精進してがんばります!
    ありがとうございました。

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