新宮川水系立間戸谷支流八汐滝 2021年1月24日
日 程 2021年1月24日
目 的 大滝登攀
メンバー RED EYE わんこ♂ Daai.suke 計3名
気 象 雨 気温10℃
装 備 一般登攀具 8.9mm×50m 8.0mm×50m ハーケン
カム クライミングシューズ
行 程 (7:30)入渓⇒(8:10)八汐谷大滝下部⇒(9:00)F2
⇒(10:00) 登攀開始⇒(11:30)F4⇒(14:00)F5⇒(14:15)F6
⇒(14:30)F7⇒(14:40)下降開始⇒(16:30)滝下⇒(17:00)退渓
約40年前に登攀された八汐滝。日本登山大系、山と高原地図ではカラ滝と記されている。ネット社会で検索すれば欲しい情報がすぐに見つかる現代に於いて、全く記録どころか情報すら出てこない滝である。分かっているのは30本以上のボルトを打って人工登攀で登られた、3段150mの滝とゆう情報だけである。検索の仕方によっては2件程はヒットするが、登攀対象では無いのか登攀の記録は見つからなかった。この滝を見に行こう、あわよくば登攀しようと持ち掛けたのはわんこ♂。この日は別の予定があった私だが、キャンセルになったためにドタ参することになった。ホクラ谷で一緒になった大ちゃんも合流し、3人で立間戸谷へと乗り込んだ。車止めから約30分程で八汐滝の下部へと到着。初登の際には数えきれない程のボルトを打ち込み、フルエイドで登攀したと聞くが見れば成程と納得するしかなかった。
水線の右側から取付けそうではあったが、プロテクションが取れそうにもなく、下降時によく観察したがリスもなく逆層でフリーでの登攀は絶望的だった。今思えばよく思い留まったと思う。万が一にも取付いていたら、10m程から登ることも逃げることも出来ず、大きな事故を起こしていたであろう。私たちは左岸を大きく高巻き、下部から見えている落ち口へと下降した。降り立った場所は過去の記録からすると2段目である。
本来はここで引き返す予定だったが、上部をフリーで登れる可能性を見出してしまった私の我儘で登攀を開始することになった。見た感じは逆層スラブで水流に磨かれた絶望的な印象だったが、よく観察すると何ヶ所か水が跳ねている箇所がある。持てる可能性のあるホールドがあるかもしれない。入念にオブザベし、クライミングシューズに履き替えて取付いた。
2段目 RED EYE リード
取付いて秒で後悔し始める。やはりプロテクションが取れない。ホールドは乏しく点で乗る感じのフットワークで、常に重心を足に置き続けなければならなかった。エッジング性能の高いミウラーだからこそ踏めたが、それでも何度か足が抜けそうになった。下から見ると、シューズの裏が全部見えていたようだ。ハーケンが決まらず、浅効きのハーケンを連打する。ロワーダウンは出来ず、もはや突破するか墜落するしか選択肢はない。何度か行きつ戻りつを繰り返し、辛くも突破し右岸の立木でピッチを切った。
3段目 下部 わんこ♂ リード
記録上にある3段目であろうこの滝は傾斜は増し、磨かれたほぼ垂壁の絶望的な滝。
わんこ♂は水線から少し左に逸れたクラックから巻き気味に登攀を開始。泥壁と脆い岩に阻まれ、かなり神経を擦り減らす大滝登攀らしい登攀となった。カムは良く極まっていたが、クラック自体が脆いので墜落は許されない状況が続いていた。滝上まで微妙にロープが届かず、バンド状の足場の良い場所でピッチを切った。
3段目 上部 Daai.suke リード
このピッチの担当は大ちゃんに決めてもらった。右岸に逃げることも出来たが、かなりバランシーで悪いリッジを逃げずに攻めた姿は立派だった。おかげで水線を外さずに滝上へと到達することが出来た。
滝上に着き、熊野川が一望出来てこの滝の登攀は終わったかと思っていたが、奥には更に滝が連続していた。
二俣に分かれ、右俣にも滝がある。
直ぐに現れた7m程の滝は登攀可能だが、右岸から歩いて巻けるので巻き上がった。
奥には2段になっている擂鉢状の滝が稜線に突き上げていた。滝の周りも擂鉢状で登攀は厳しいだろう。
やはり右岸から巻けそうだが、時間が押していたので調査はここで終了となった。右岸にマーカーがあったので、稜線にある作業道に続いているのかもしれない。地形図を確認すると565m付近に続く林道があるようだが、何の為のマーカーかはよく分からなかった。
日没までに下山する為、大休憩の後すぐに下降を開始した。3段目の下降時に確認すると、水線左側のカンテ状から、水線に繋がる薄いカチを繋ぐラインが引けそうだった。しかしプロテクションが取り辛く、スタンスも拾い難い為に相当厳しい登攀になりそうだ。
更に下降を続け、問題の1段目に差し掛かった。滝上部に残置のリングボルトを見付けた時、止まっていた時間が流れていくように感じた。約40年前に打たれたであろうボルト、先人達のDNAは今日も我々に引き継がれていると思うと感慨深いものがある。
何とかフリー化に出来ないかと探ったが、形状から考えても不可能だろうと結論付けた。何とかバンドに登ったとしてもピッチを切る中間支点が取れない。そこから上部はホールドが無く、ハーケンを極めるリスすらも無かった。登攀時にボルトを連打してフルエイドで登った理由がこれでハッキリした。
いつか強く意欲的なクライマーがフリー化するかもしれないが、自分達の能力では到底無理だと判断した。今回の調査に於いて、時代の流れと共に忘れ去られた登攀記録、八汐滝には間違いなく先人達の遺した沢屋のDNAを感じることが出来た。
COMMENT
まさに冒険!
毎回毎回の登攀記録が濃いですね!
途中支点が取れないあたりが記録を遠ざけていることは
間違いないのだろうと想像できます。
フリー化初登攀のために開拓も
視野に入れてみてはいかがでしょう?
R&SにREDEYE様、わんこ様の名前が載る日が来る予感。
爪の件は如何でしょうか?順調に回復されていますか?
どうぞご自愛ください。
泥船船長あるいは608 様へ
今回の滝は40年前のロマンを追い求めて訪滝しました。
見た感じは南紀特有に逆層スラブに擂鉢状、垂壁でもナメたツルっとした滝でしたw
初段/二段をフリーソロで登れる方なら突破可能かもしれませんね。。。
爪は何とかマシになってきましたが、カチを保持ると辛いです。。。
先日もゲレンデで岩トレだったのですが、11Cを登れずしょんぼりです。。。
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