大峰奥駆道 逆峯 全山縦走 2015年9月19日~2015年9月22日 ④
釈迦ヶ岳を通過してからはアップダウンはあるものの高度は下がっている。
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大峰奥駆道 逆峯 全山縦走 2015年9月19日~2015年9月22日 ③
大峰奥駆道 逆峯 全山縦走 2015年9月19日~2015年9月22日 ②
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怒田宿跡の手前には少し痩せた尾根を通過するが、大した難所ではない。
13:58 怒田宿跡 通過。
怒田宿跡付近には、谷を10分程下った所に水場があるようだ。
ここから行仙岳まで距離は短いが、山頂付近の登りは少し堪える。
14:00 行仙岳 通過。
山頂を経てからは、展望の無い閉ざされた森林の道を歩いて行く。
深仙ノ宿を出発してから9時間が経過しようとしていた頃、山小屋が見えてきた。
流石に疲労感を感じており、このタイミングで山小屋に着けたのは幸運だった。
14:30 行仙山宿小屋 到着。
小屋には小屋を管理されている新宮山彦ぐるーぷの方がおられた。
ゆっくり休んでいきや~と声を掛けて頂き、お言葉に甘えて少し休ませて頂いた。
小屋にはトイレもあり、10分ほど下った場所に水場もある。
宿泊で小屋を利用するには、維持管理費として2000円が必要。
詳しくはコチラを参照 → 新宮山彦ぐるーぷ管理の山小屋
新宮山彦ぐるーぷのおじさんと少し談笑しながら小屋で休憩していた。
驚くことに、私が住んでいる場所の近所に住んでおられる方だった。
ご近所ともあり、親近感が湧いて色々と楽しい時間を過ごすことが出来た。
大変親身になって下さって、ここで宿泊していけと強く勧められて心が揺れた。
しかし、私の予定していたスケジュールに遅れがあったので先に進むことにした。
15:13 行仙山宿小屋 出発。
一期一会、名残惜しいが先に進むよう、私の中の何かが私を突き動かした。
今思えば、ここで休んでいればこの後に起こるアクシデントを回避出来たかもしれない。
小屋を出発してから笠捨山までは4つ程の偽ピークを通過する。
短い距離ではあるが、瞬間的に急な登りが連続するので足腰にダメージが蓄積される。
嫌なタイミングでガスが濃くなってきた。 これから日没に掛かるので不安がよぎる。
16:39 笠捨山 通過。
ここでMさんに定時連絡を入れる。 MさんからKさんに連絡を入れるように言われた。
聞いてみると、Kさんが私を迎えに熊野本宮大社まで来てくれるとのことだった。
下山時間のタイミングと帰りの足を心配していたので、こんなに有難く嬉しい話はない。
MさんとKさんの粋な計らいに心から感謝し、到着予想時間を伝えて笠捨山を後にした。
笠捨山からは下り基調の道が続く。 これでもかとゆう位に下って行く。
17:09 葛川辻 通過。
ここでガスの濃さ、時間、体力を考慮して地蔵岳をパスし巻道を選択した。
こちらのルートは水場もあり、通常であれば地蔵岳を登るよりは安全なルートである。
しかし通過するタイミングが悪過ぎた。 地形を考えれば簡単に判る筈だった。
谷間の長い巻道より、地蔵岳に登った方が見通しは利いただろう。
予想していたより暗くなるのが早かった。 しかも濃霧のおまけ付きである。
水場で補水していたのが17:55。 この後、私はルートをロストする。
水場を過ぎて、崩落箇所を通過した際に、気付かぬ内にルートを間違って進んでいた。
歩いていて何故か川の流れる音が近付いていた感じがしたこと。
更に山を下っているような感覚があったことがルートミスを気付かせた。
GPSを見ると地図上で記している、上葛川集落へと続くルートへと下りていた。
元来た道を戻ったが、崩落箇所で闇と霧に包まれ、完全にルートをロストしてしまった。
ロスト、迷ったのではなく道を見失う。 運悪くGPSも狂い役に立たない。
コンパスで方角を確認して道無き道を進んだが、足場が悪く5m程滑落してしまった。
傾斜が緩かった為、大した怪我も無かったが、更に状況は悪化し現在地が判らない。
ヘッデンの照射距離が濃霧の為に短くなり、目標物すら見付けられないのだ。
闇雲に動いても状況は悪化する。 取敢えず腰を落ち着けて考えることにした。
事態が最悪で重大な時こそ、山の様に不動で落着いた姿勢で臨むことが大切だ。
落着いて考えた結果、現状を打破する為、私は3つの選択肢を導き出した。
① 夜明けを待ち、ビバークする。
② 上葛川集落へのルートを探し、奥駈達成を諦めて集落へと下山する。
③ 何とかルートを探して続行する。
①を選択する場合、サバイバルの基本となる火、水、シェルターの3つが要る。
火はアルコール燃料があり、湿っているが薪になる木は沢山ある。
野生生物の活動が活発な為、ビバークするなら火は絶対に必要な要素だ。
不本意ではあるが、火を起こせば明かりと暖を確保出来、外敵から身を守れる。
水も補水後なので豊富にある。 問題はシェルターとなる場所が無い。
正確には平地が無く落石の危険があり、安全に身を隠す場所を確保出来ないのだ。
とゆうわけで①の選択肢は却下になった。 では②か③のどちらを選択するか?
私の導き出した答えは③を試して無理なら②を選んで下山するとゆうことだった。
まずは現在地の把握だが、濃霧で視界が利かずにほぼ絶望的だ。
電子機器が狂っている現況ではアナログ方式で対応するしか方法がない。
見える範囲で地形を確認し、大体の現在地を予想して今後の動きを考える。
装備品のチェック。 予備に所持していた320lmのハンドライトが使える。
濃霧の闇の中でも照射距離が長く、目標物を見付けて進むには丁度良い。
但し、このライトの活動限界は約2時間。 予備ライトの予備電池は無い。
下手に動き回るより、現在の場所から西北西の範囲へと捜索をすることにした。
ザックを降ろしてランタンを灯して目印にし、常に進む方向を確認しながら探す。
空荷になることでフットワークが軽い。 機動力が上がったことで捜索は捗った。
何度か登っては拠点に戻ることを繰り返し、やっとルートを発見することが出来た。
霧が晴れた瞬間に、高圧線の鉄塔を確認出来たことで現在地の把握も出来た。
拠点に戻り、ザックを回収してルートに復帰したが、稜線に出るまでは不安だった。
21:30 香精山 通過。
ルートロストしたことで、実に2時間以上も彷徨っていたことになる。
谷間から稜線に上がったことで、携帯電話の電波も復帰した。
Kさんに連絡し、ロストしたことで2時間以上のロスが出たことを伝えた。
安心したことで、ストレスが解消されたと同時に疲労が一気に噴き出してきた。
ここでビバークも考えたが、私は玉置神社の駐車場を目的地に定めて再び歩き始めた。